図書館で借りて、パン・ソンヒョク『勉強が面白くなる瞬間』を読んでいます。
原題は、「이토록 공부가 재미있어지는 순간」というそう。読めません。
- 勉強が面白くなる瞬間 2022年08月29日(月) 22時22分54秒 アメーバブログ
- 이토록 공부가 재미있어지는 순간 グーグルブックス
日本の東大みたいな位置づけの韓国のソウル大学の法学部に合格した人の勉強の体験記が書かれています。実際には、ソウル大学法学部、延世(ヨンセ)大学経営学部、東新(トンシン)大学韓医学部に合格したらしい。
- パク・ソンヒョク プロフィール(HMV)
15歳くらいまでは勉強をろくにせずにダラダラ過ごしていたみたいですが、あるとき突然こんなんじゃだめだと目覚めて、勉強に勤しんだそうです。
日本だとビリギャルとか、偏差値35からでも東大に入りましたとか、この手の出来なかった人間が頑張って難関大学に合格した話がたくさん本になっていますが、韓国でも同様なんでしょうか。この本は邦訳ですがアマゾンで826人の人がレビューしていて5段階評価で4.1という非常に高い評価を得ています。日本でもベストセラーになったようです。
DIAMOND ONLINEの記事で何回もこの本が取り上げられていますが、出版社がダイヤモンド社でした。なるほどこうやって本を売るために何回も記事を出すんですね。なるほどこうやって畳みかけるようにして記事を出して売り上げを維持していくわけか。何十個も記事があって紹介しきれないので、その中のいくつかだけ下にリストしておきます。
- 勉強して成功した僕が勉強をしなかった僕へ宛てた手紙<後編> パク・ソンヒョク 吉川 南 ライフ・社会 勉強が面白くなる瞬間 2024.1.6 3:41 DIAMOND ONLINE
- 勉強して成功した僕が勉強をしなかった僕へ宛てた手紙<中編> パク・ソンヒョク 吉川 南 ライフ・社会 勉強が面白くなる瞬間 2024.1.5 3:41 DIAMOND ONLINE
- 僕がサボり沼から抜け出した方法 パク・ソンヒョク 吉川 南 ライフ・社会 勉強が面白くなる瞬間 2024.1.3 3:38 DIAMOND ONLINE
- サボるのを減らす目標を立てて、「愕然としたこと」と「大成功を収めたこと」 パク・ソンヒョク 吉川 南 ライフ・社会 勉強が面白くなる瞬間 2023.12.31 3:03 DIAMOND ONLINE
- 勉強の常識を覆した1冊。これは「生き方」についての本でもある 『勉強が面白くなる瞬間』訳者・吉川南氏インタビュー(第3回/3回シリーズ) パク・ソンヒョク 吉川 南 ライフ・社会 勉強が面白くなる瞬間 2022.6.2 2:45 DIAMOND ONLINE
- ノウハウのない勉強本が韓国で大ヒットした理由 『勉強が面白くなる瞬間』訳者・吉川南氏インタビュー(第2回/3回シリーズ) パク・ソンヒョク 吉川 南 ライフ・社会 勉強が面白くなる瞬間 2022.5.31 2:40
- なぜ、韓国でベストセラーとなった本が日本でも読まれるのか? 『勉強が面白くなる瞬間』訳者・吉川南氏インタビュー(第1回/3回シリーズ) パク・ソンヒョク 吉川 南 ライフ・社会 勉強が面白くなる瞬間 2022.5.29 3:45 DIAMOND ONLINE
本ってこうやって売るのねと思います。
訳者の方は名前から推測して女性のようで、この本の文章も女性的な印象があったので、著者も女性かとおもったら男性のようでした。ずっと第一人称は「私」なのですが、37ページにきて
「僕の人生なんて、何でもないんだ」という絶望感が、
と「僕」が出てきてわかりました。
数学と英語は積み上げ型の教科
さて、15歳の中学生の男の子が心機一転勉強するぞ!と決意して最初にとった行動は、お父さんに頼んで車で30分のところにある市内の本屋さんに連れて行ってもらい、問題集を買い込むことでした。「小学5年と6年の算数問題集が学期別に5冊ずつで20冊と、中学1年の国語と英語の問題集」を買ったそうです。これを読んで、この人は勉強のやり方がわかってるじゃんと思いました。積み上げ型の科目は、学年を戻って初歩から勉強をするしかないわけです。そういえばビリギャルも高校2年生だったけど、小学校か中学校レベルから始めたって書いてあったように思います。勉強に近道はないんですね。(39~40ページあたり)
点数と順位と偏差値と勉強との関係
テストの点数はテストの難易度や採点方法で変わりますので、勉強するときの目標をテストの点数にするのは無意味です。順位や偏差値は、ほかの人達の成績が影響するので、やはりそれを目標にするのは無意味です。自分が取り組んでいる問題が解けるようになること、科学の概念を理解でいるようにすることに専念することが大事。そういったことが書いてありました(159ページ~161ページあたり)。至極真っ当ですね。人と競争しちゃだめってことです。
習慣にすることの重要性
「はじめは人が習慣を作り、それから習慣が人を作る。」(ジョン・ドライデン、イギリスの詩人)という言葉が紹介されていました。(165ページ)
人間は習慣に従って行動する生物なので、新しく習慣にしたいことがあっても「始めてから21日経っていない行動」は脳が拒否するのだそうです。なので、習慣化したいことがある場合は、とにかく21日間頑張ってそれを習慣化することが大事だそう。21日間続けたことは、脳が習慣として受け入れてくるみたいですね。(166ページ)
この本は勉強に関する本かと思って読み進めていたら最後のほうは、親と子の関係であったり、人間に対する信頼の話であったり、人生まるごとを含む話になっていきました。最後は涙なしには読めないかもしれません。
大学受験をする高校生だけが読者ではなく、広く大人にも読まれているというのも納得でした。受験勉強を題材として、人生全般に通じる話が書かれていると思います。
深いと思った内容をいくつか紹介(本の言葉通りでなく自分で少しアレンジしています)。
天が人に重要な仕事を任せようとするとき、まず苦難を与えて、人物を育てあげる。(孟子)(111ページ)
勉強という競争に勝つ方法は、他人との競争をやめること。戦うべき相手は、弱い心の自分、過去の自分。自分と、自分の勉強にのみ気持ちを向ける。(120~129ページ)
モウソウチク(竹の一種)は、種を蒔いても5年間目を出さず、5年目にして芽を出すと1日80㎝も伸びて高さ30mにもなる。そんなに急に伸びて倒れないかと心配するには及ばない。5年間の間に根を張っていて、その総長は4000mにもなる。(69ページ)
慎独(しんどく)とは、一人でいるときでも人前にいるときとどうように正直で自制すること。(80ページ)
人間の身体は過去にも未来にも行けず、「いま、ここ」にだけ存在する。それに対して、心は、過去にも未来にも彷徨い出てしまう。「いま、ここ」に心を集中させることが大事。勉強するときは、「いま、ここ」に没頭する。(146ページ)
この本に書かれていた内容は本当に広範囲で、ほんの少ししか紹介できませんでしたが、読む人の楽しむを奪わないようにこれくらいにしておきます。
この本の中で書かれたことのうち、自分が一番気に入った内容を最後に紹介して終わりします。
奇跡は決戦の日に起こるのではない。奇跡は準備する過程でおきる。(120ページ)