ドルチェ&ガッバーナは、イタリア人のデザイナー、ドメニコ・ドルチェとステファノ・ガッバーナの二人が1985年にミラノに設立したブランドです。ドルチェ&ガッバーナは2018年11月21日に上海でファッションショーを開催する予定でしたが、そのための宣伝の動画が中国文化に対する無理解をさらけ出しており中国がこの動画の放映を中止したところ、それに腹を立てたガッバーナ氏が中国を口汚く罵る発言をSNS上でしたため、怒った中国人の出演者らが次々とキャンセルの意思を表明し、予定されていたファッションショーが中止に追い込まれました。事態はそれだけでは収まらず、なんと中国の市場がドルチェ&ガッバーナブランドを完全に追放するという事態にまで発展しました。インターネットのSNSのパワーたるや凄まじく、この一連の出来事がほんの数時間の間に生じたとのことです。ドルチェ&ガッバーナが中国で築き上げてきたビジネスを一瞬で失ったわけですが、果たして、再びこれを取り戻すことは可能なのでしょうか?
- 一晩で中国市場を全て失ってしまったドルガバ炎上事件の衝撃 徳力基彦 | アジャイルメディア・ネットワーク 取締役CMO ブロガー 2018/11/23(金) 1:40 YAHOO!JAPAN
事の発端となったのは、ドルチェ&ガッバーナが中国でのマーケティング戦略おいて作成したこの動画。日本人の自分の感覚からしてもこれだけで十分、侮辱的な印象を持ちました。第三者のパロディーならともかく、中国市場でイタリアのファッションを売りたい人間が作ったというのなら正気とは思えません。
中国人が箸でピザやパスタを食べようとする動画
下の動画は、3つのパターンをまとめたもの(ナレーションが中国語のみ)。
Dolce & Gabbana ‘Eating with Chopsticks’ video series
- 設計師嗆中國是屎國!Dolce & Gabbana「起筷吃飯」影片引爭議 (YOUTUBE動画)
問題の動画は、アジア系の女性がピザをはしでつまんで食べるシーン。はしを「棒のようなもの」と表現し、「ペンチのように挟んで口に運んでいます」といったナレーションが入る。(「ドルチェ&ガッバーナ」の「中国人蔑視」動画の怒り収まらず 服を着た人を接客しない店続出
2018/11/26 11:21 JCASTテレビウォッチ)
中国ではこのPR動画が問題視されて、放送中止となったそうです。それに腹を立てたガッバーナ氏が、SNS上で、
It was deleted from Chinese social media because my office is stupid as the superiority of the Chinese …
it was by my will I never canceled the postAnd from now on in all the interviews that I will do international I wil say that the
country of 💩💩💩💩💩 is China … and you are also quiet that we live very well without youChina ignorant Dirty Smelling Mafia
といった中国を口汚く罵る発言をしたため命取りとなったようです。この動画をめぐるネット上のやりとりで中国に対する侮辱的な発言が飛び出して大炎上しました。さらに致命的だったのは、ガッバーナ氏は謝罪をせず、自分のアカウントがハッキングされたためあれは自分の発現ではなかったと姑息は言い訳に走ったことです。誰一人そんな釈明を真に受けず、批判がさらに強まる結果になりました
一連の経緯
中国でブランドを展開する人も多いので昨日のドルガバの事件を解説します。
— なつよ (@chinshonatsuyo) 2018年11月22日
ドルチェ氏とガッバーナ氏が謝罪動画を公開
ついに観念したのか、このデザイナーコンビが謝罪する戦略に方向転換しました。
‘We love your culture’: Dolce & Gabbana founders issue apology to China over ‘racist’ ad row (Guardian News 2018/11/23)
ガッバーナ氏の過去の日本に関する発言
“Once we’re dead, we’re dead. I don’t want a Japanese designer to start designing Dolce & Gabbana,” Gabbana, 55, said in an interview with Italian newspaper Corriere della Sera. (‘Once we’re dead, we’re dead’: Dolce and Gabbana say label will die with them Fri 6 Apr 2018 01.37 BST The Guardian)
「ドルチェ&ガッバーナは我々が死んだらお終いだ。私は日本人のデザイナーがドルチェ&ガッバーナをデザインすることは望まない。」ガッバーナ氏(55)は、イタリアの新聞コリエーレ・デラ・セラ紙のインタビューの中でそう述べた。
今回の騒動の原因はこのイタリア人たちの中国に対する無理解なのか差別意識なのかどちらなのでしょう。無理解さが差別意識を生み出す前提になるわけですから、あまり区別する意味もないのでしょう。PR動画よりも侮辱的な発言が問題視されていますが、自分はどちらかというと逆の印象を持ちました。自分の会社が多額の経費をかけてつくった宣伝用の動画が受け入れられなかったときに腹が立つのは人間の普通の感情で、そこで汚い言葉が飛び出るのもむしろわかる気がします。むしろ、箸で食べる文化をおちょくったような動画の方がはるかに悪意を感じました。悪意でなく、無知、無理解、リスペクトの不存在なのでしょうが。差別する人間が、自分の中の差別意識にそもそも気付いていないがために生じた事件かと思います。
参考
- D&G炎上事件でドルガバが動画で中国に謝罪:理由は人種差別 2018.11.26 news from nowhere 1ovely.com
- ドルチェ&ガッバーナの「中国侮辱」騒動、多くの芸能人がSNS通じ“袋だたき”に、過去の問題広告も話題 2018年11月23日(金) 11時30分 RecodChina
- 中国で最大のスキャンダル 複数のオンライン取引プラットフォームが「D&G」製品を販売から撤去 2018年11月22日 17:21 jp.sputniknews.com
- ドルチェ&ガッバーナ / DOLCE&GABBANA VOGUE JAPAN