ネットの記事を見ていたら、
法律上18歳未満の相手との性行為は原則問題なし!!狩野さんが処罰される可能性はほぼゼロ-弁護士が解説 福永活也ひとり親支援法律事務所 代表弁護士 2017/1/21(土) 19:24 ヤフージャパン
の記事の中で、
- 18歳未満との性行為をしたというだけで法律上問題になるわけではない
- 相手が13歳未満の場合には、本人含め、誰の同意があろうといかなる場合も許されません
- 18歳未満との性行為が一律に禁止されているわけではなく、原則的には問題はないが、例外的にみだらな性行為が禁止されている
- 淫行でなければ、真摯な交際であることが認定できなくても違法にはなりません
といった記述がありました。18歳未満の人との性行為はすべてみだらな性行為とみなされるとばかり思っていましたが、そういうわけではないようです。では「みだらな行為」や「淫行」とは何なのでしょうか。この記事の説明(出典は警視庁のホームページらしい)では、みだらな行為とは、
青少年を誘惑したり騙したりして、青少年の心身の未成熟さに乗じた性行為や、青少年を単に自分の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性行為
のことだそうです。また、最高裁の判例の中の説明には、みだらな行為の説明および性行為の本質に関して、
- 青少年を単に自分の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性行為
- そもそも性行為とは、自己の性欲を満足させるために行われるのが通常である
といった指摘がなされているとのこと。裁判官も人間くさいですね。結局のところ、恋愛関係における性行為は法的に問題ないということのようですし、その際に、「真摯な交際かどうか」は必ずしも争点にはならないというのがこの記事の主旨のように思いました。お金を払ったり何か対価を与えての性行為は、買春で違法なのですが、お互いの自由意志の場合には、単純に裁けるものではないようです。
そういうことを前提に過去の「みだらな行為」で逮捕された事件を見てみると、
- 愛知県稲沢市のホテルで当時17歳の少女にみだらな行為をしたとして、岩倉市職員の男が5日、警察に逮捕されました。愛知県青少年保護育成条例違反の疑いで逮捕されたのは、岩倉市役所・長寿介護課に勤務するXXXX容疑者(23)です。警察によりますと、XXXX容疑者は去年9月、稲沢市内のホテルで、当時17歳の少女に対し、18歳未満だと知りながらみだらな行為をした疑いがもたれています。去年10月、別の事件の関係者として警察が少女に話を聞いた際に、今回の容疑が浮上したということです。(中略)2人はツイッターを通じて知り合ったということで、警察が事件に至った経緯などを調べています。https://www.ctv.co.jp/news/articles/lhntvkchk6rswwth.html
- 自宅で18歳未満の少女に、みだらな行為をしたとして、自称・土木作業員の男が15日逮捕されました。鳥取県青少年健全育成条例違反の疑いで逮捕されたのは、鳥取県鳥取市に住む自称・土木作業員の男(20)です。調べによりますと男は2021年10月30日、鳥取市内の自宅で、県東部地区在住の18歳未満の少女にみだらな行為をした疑いが持たれています。男と少女は知人同士だったということです。https://news.yahoo.co.jp/articles/a416a16603805ed4ed0d4a21e2835ba28db7f7d8
- 東京都の49歳の男が佐賀県青少年健全育成条例違反の疑いで逮捕されました。男は自分の年齢を20代と偽っていたということです。逮捕されたのは東京都杉並区の自称無職の49歳の男です。男は去年9月、SNSを通して知り合った佐賀県内の10代の少女に対し、18歳未満であることを知りながら県内のビジネスホテルで、みだらな行為をしたとして、県青少年健全育成条例違反の疑いが持たれています。警察によりますと、男は去年6月ごろ、共通の趣味のSNSを通して少女と知り合いました。男は少女に対し、「好きだよ」「会いたい」などとメッセージを送るようになり、その後、佐賀県を訪れ、初めて会う少女に対し、犯行に及んだということです。https://www.fnn.jp/articles/-/330276
- 14歳少女にみだらな行為 逮捕の41歳看護師は否認「結婚を約束した真剣交際」 2022.3.10 0:19 神戸新聞 https://www.47news.jp/7507694.html
といった報道で、具体的な行為については何も触れられていないので、どんな行為がみだらな行為とみなされたのかはわかりません。こういったニュースを見る限り、「法律上18歳未満の相手との性行為は原則問題なし」という上のヤフーニュースの解説記事は的外れのように思います。
法解釈はさておいて、実際はどうかというと、多くの場合に逮捕されているようです。
千葉県警が2009年5月12日、千葉市内の私立大学3年生男子を県青少年健全育成条例違反の疑いで逮捕した。(中略)男子大学生は、ミクシィで知り合った県立高校3年生女子に対し、08年9月上旬に自宅マンションで18歳未満と知りながらみだらな行為をした疑い。(中略)逮捕の理由について、同署では、「恋愛関係はまったくありませんでした。合意はあったということですが、悪いと分かっていてみだらな行為をしたからです」と説明する。https://www.j-cast.com/2009/05/14041097.html
上の記事の例では、高3女子高生には交際している彼氏がいたそう。それでも”心身の未成熟さに乗じた性行為”と見なされてしまうんですね。
淫行に関する判例
淫行とは、広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきでなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいう(最判昭和60年10月23日)。https://wellness-keijibengo.com/inkou/#i
最高裁まで争って淫行ではなかったという判断を勝ち取ったとしても、その前に逮捕されて職をうしなったりするでしょうから、全く何もいいことはありません。